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 蜂毒アレルギー事件(アナフィラキシーショック) 

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  あの日のことだった。まさか自分がアレルギー体質であったとは!
  
何のアレルギーも持っていないと思っていた。杉も、ブタクサも、植物アレルギーも私には無縁だと、関係ないとタカをくくっていた。

その日は2回目の採蜜に取り組んだときであった。やっと高価な遠心分離器
が届き、本格的に蜜を絞ったのである。興奮していた。あんなに蜜が多いとは
想定外であった。

プロとの比較であれば1カ月以上採蜜が遅れてしまった。量が多くなるのは
当たり前であった。うれしかった。巣脾を次々に分離器にかけてグルグルまわす。蜜が飛び散り分離器の底にみるみるたまっていく。

2群の巣脾20枚である。2枚ひと組として分離器にかけていく。3分の2
が終わって一休みした。喜色満面であった。疲れなどない、汗が滴り落ちて
顔面ネットの内側をタオルで拭くだけでよかった。

拭き終わって、作業に取り掛かる。ミツバチさんも必死であること肌で感じていた。羽音が全く違うのである。ブーンというより耳もとに来るとゴーという感じである。

突如ゴーの音に空気の振動が加わったのである。一瞬耳もとで何が起こったのか分からなかった。次の瞬間ブチ、ブチ、ブチとこめかみに針で刺された痛みが走った。

そのとき、気がついた。完全防備で作業していたのだが、汗を拭いた一休みの間に、顔面ネットの前ファスナーを閉め忘れていたのである。

数匹のミツバチさんが面前に飛び込んできたのである。あわててネットを
はずしながら逃げた。車の中に逃げ込んで刺されたところの手当をしようとした。でもその時まだ事の重大さに気が付いていなかった。

刺されたのは今回が初めてではない。頭のてっぺんや、指先など一か所づつ
刺されたことはあった。蚊に刺されるよりも重く、ブヨに刺されるよりも軽いぐらいの考えであった。

今回はまとめて刺されてしまった。ちょっと痛い思いをしたが自業自得だ、不注意極まりない話だ。女房には話せないな、などと考えていた。

ところが自家用車の中で、何か体に違和感を感じていた。疲労感というのか、だるさというのか、
何か変だなと感じながら横になっていた。靴も脱ぎ、上着も取って楽な姿勢で、静かにしていたが、息苦しくなってきた。母親が来たのでコップに水をもらった。

水が喉につかえる。

“なんだこれは”と思ったがノーテンキであった。顔色悪くなり目は充血していたそうだ。

母親に救急車をよばれてしまった。

救急車のなかで救急隊員に何度も謝った。このくらいでミツバチに刺されたくらいで
皆さんにお手数かけ申し訳ないと思ったからである。
でも隊員の方が言った、
お母さんの判断のほうが正しいと思いますよ。血圧が上が100を切ってるのだから!。

このときになって初めて事の重大さに気がついたのである。

新しい蜜蜂の飼い方

新しい蜜蜂の飼い方

  • 作者: 井上 丹治
  • 出版社/メーカー: 泰文館
  • 発売日: 2003/05
  • メディア: 単行本




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